面接を受けさせてもらうまでが一番大変かもしれない
以前アメリカでプログラマとして就職するための戦略という記事を書きました。
記事の最初に、プログラマの採用の流れとして、”1. まずリクルータと電話をして応募条件にマッチしている人材かチェックされます。”とさらっと書きましたが、ここにたどり着くまでが、後のCoding Interviewをパスするよりもずっと難しいかもしれません。
エンジニアとの面接にたどり着いてしまえば、Coding Interviewというある種の人工的なゲームでの勝負なので、そのゲーム対策は個人の努力です。
少なくともCoding Interviewに対するいい準備が出来ていれば、いくつか面接を受けるうちにいつかオファーをもらうことが出来ると思います。
普通に応募しても面接は受けられない
どの会社もホームページやLinkedInを通じて誰もが応募できるような仕組みになっていますが、問題はそこから応募してもリクルータから返事が来ることはほとんどないことです。
なぜならオンラインからの応募は誰でも気軽にできるので、リクルータは一日にいくつも応募の書類を受け取り、すべてに目を通していないからです。(本当かどうかは知りませんが、こちらによるとGoogleには年間200万人の人が応募するそうです。)
逆に言うと、真正面から応募すると、技術的に確かな実力があってもリクルータのお眼鏡にかなわないとそもそも面接を受けさせてもらえない可能性が高い。
だから元同僚を通じたりOSSに参加したりして、中のエンジニアの知り合いを作り、リクルータを経由せずに面接を受ける手段を探すのがとても大事。
— yu. (@yu_phd) January 31, 2018
日本は新卒一括採用という『業界未経験でも就職できるチャンス』が(ある程度名のある学校を卒業していれば)誰にも与えられますが、そのような習慣がないアメリカではそもそも面接を受けるというスタート地点に立つのが非常に困難だという印象があります。
アメリカでは日本と異なり社員をいつでもレイオフすることができるとはいえ、レイオフが日常茶飯事の会社は評判が下がるので、一度雇った人間は簡単に切れません。
会社は一般にfalse negative(能力のある人を間違って落とす)よりもfalse positive(能力のない人を間違って採用する)を嫌います。
つまりフルタイム社員の採用はとても慎重なので、新卒など過去に就業経験のない人はなかなか相手にされません。
インターンがアメリカで一般的なのは、万が一変な人を雇ってしまったとしても、インターンはせいぜい数か月間の有期雇用なので、会社側からするとフルタイムの採用よりもリスクが低いからです。
したがって、学生や業界未経験者は採用基準の低いインターンで実務の経験を積み、その実務経験をもってフルタイムの就職先を探すというのがアメリカで就職するための王道アプローチだと思います。
あなたが学生であればインターンの機会はたくさんあるので、ぜひ興味があれば応募してみるといいと思います。(インターンに対するビザは就労ビザと異なり簡単に出ます。)
日本の大学(院)の学生でも、アメリカの会社でインターンをしたことのある方はたくさん知っているので、将来日本で就職するとしても、ちょっとした海外旅行気分で行ってみるのもいい経験になると思います。
また既卒者に対するインターンも学生対象のものに比べれば少ないですが存在します。
面接を受けるためには自分を評価してくれる知り合いを作ることが大事
このブログで度々紹介しているElements of Programming Interviews: The Insiders’ Guideからの引用です。
Whenever possible, have a friend or professional acquaintance at the company route your resume to the appropriate manager/HR contact – the odds of it reaching the right hands are much higher. At one company whose practices we are familiar with, a resume submitted through a contact is 50 times more likely to result in a hire than one submitted online.
上記の引用をざっくりまとめると、『会社への応募の際にはその会社の求人ページからresume(職務経歴書)を提出するのではなく、可能な限りその会社に勤めている知り合いを通じて直接マネージャーや人事にresumeを手渡してもらうべき。それだけで採用されるかどうかの可能性は50倍くらい変わってくるかも。』となります。
つまり面接にたどり着くのに一番必要なのは、自分のことを評価してくれている知り合いを作ることです。
一番無難なのは元同僚や大学の研究室の仲間などでしょう。
日本の会社で働きながらオープンソースに参加することで、そこで知り合った人たちを通じ、シリコンバレーの会社に入社のきっかけを作ってもらったという方も知っています。
絶望的に知り合いが作れない場合はどうすればいいか
以下は最近私が個人的にやってみてうまくいった方法です。
創業1-2年未満のまだ社員が10人いないような本当のスタートアップは人を集めるのにとても苦労をしている印象があります。
そういう会社であればそもそも応募する人が少ないので、ホームページから直接応募してもresumeを見てもらえる可能性が高いと思います。
もしその会社の業務と関連するような研究業績やプロダクトがあれば、resumeと一緒にそれも提出してください。
もしそういうものがない場合は、『業務に関する何か具体的な課題を報酬ゼロ』でもらってください。
私が先日試した方法では、その会社が興味を持っている学術論文を送ってもらい、それをC++で実装するという課題をもらいました。
結果としてCoding Interviewすら受けずに採用のオファーをもらうことが出来ました。
実際にプログラムが書けるということを直接示すことができれば、それほど説得力のある方法はないからです。
アメリカにまったく知り合いがいない場合は、面接のスタート地点に立つことはとても難しいと思いますが、それでも何らかの方法で実際にプログラムを書けるということを示せればチャンスはあるはずです。
しかしここまでやってもビザの壁に阻まれる可能性がまだあるので、アメリカの大学院に進学したり、日本でアメリカ資本の会社に就職しそこから転籍を狙う方が、時間がかかっても結局は無難なのかもしれません。
参考:
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