理系アメリカ大学院に合格するための戦略

12月 2, 2017

この記事はいつも以上に私の主観が入っています

最近はたくさんの方に私のブログを訪れていただいているようで、大変ありがたいです。

11月は20000人の方に訪れていただき、月間ページビューも50000件になりました。

おかげさまで私の書いた内容に対して異なる意見もいただくのですが、それぞれもっともなものが多く、私の書いたことがきっかけでいろいろな議論が生まれることは単純にうれしいです。

以前にもこちらで書きましたが、私がブログで書いている内容は私の経験に基づいた考えであり、絶対的に正しい保証はないので、そのまま鵜呑みにするべきものではありません。

しかし同時に私のこれまで経験したことが、他の方(特に若い世代の方)に生きる上でのヒントを与えられる部分もあるのではないかと考え、このブログを書いています。

今日はアメリカで理系の大学院に出願する際のアプローチについて書きます。

私は大学院の出願を人生で一度しかやったことがないので、何が正解かは正直わかりませんが、私の知っている限りのことをお伝えしたいと思います。

 

アメリカの大学院に出願するのに必要な条件

こちらのUC BerkeleyのEECS(Electrical Engineering and Computer Science)を例に取り上げます。他の学部や学校に関しても、工学系である限り大きな違いはないはずです。

  1. 学士号取得済み(もしくは取得見込み)で、GPAが3.0以上
    • 例えば慶応SFCではA、B、Cで授業の評価が付くので、Aを4点、Bを3点、Cを2点として、取得した科目の成績の平均を取ります。その平均をGPAと呼びます。つまりGPA3.0以上とは、平均の成績がB以上ということです。(評価システムが異なっても、それぞれの学校で公式のGPA換算方法があるので、学校の方に問い合わせれば教えてくれるはずです。)
    • 有名な大学院に出願する方たちのGPAはおそらく4.0(オールA)に近いはずなので、アメリカの大学院進学を考えている方はとにかくいい成績を修めることを目指してください。
    • アメリカではGPAが就職にも影響してくるのでみな成績にこだわりますが、幸いにも日本の大学ではいい成績を取ることにこだわりのない方が多いので、この点では有利だと思います。
    • 余談ですが、ハーバード出身の私の指導教授曰く、アメリカの私立大学では公立大学に比べて成績が甘めにつくという傾向があるようです。高い学費を払ったのにGPAが悪いと、保護者から文句が出るというのが理由のようです。
  2. 推薦状3通
    • 推薦状を3人の方から書いてもらう必要があります。理想的には全員がその分野の大学教授であるのが望ましいと思いますが、私の場合一通は会社の上司に書いてもらったので必ずしも必要ではないようです。
    • 出願する大学院の教授から直接推薦状をもらうことができたら、合格のチャンスはかなり高いでしょう。学部でアメリカの大学に留学する最大のメリットはここだと私は思います。しかし以前にも書いたように、普通に留学してしまうと学費が非常に高いので、交換留学を通じて教授と知り合うというのが現実的な手段だと思います。
    • またCG(コンピュータグラフィックス)分野に関して言えば、東大の教授はもれなく世界的に活躍している方たちなので、彼らの強力な推薦状がアメリカの大学院のCG分野の教授に届けば合格にかなり近づくはずです。そういった意味では、私は学部でのアメリカ留学にはそんなに大きなメリットはないと考えています。
  3. GREを受ける
    • Verbal、Quantitative、Analytical Writingの3つのセクションからなる試験です
    • Verbalはいわゆる国語で、理系の外国人には到底歯が立たないので気にしなくても大丈夫だと思います。私の指導教授はアメリカ人なのですが、彼女は外国人のVerbalは見ないと言っていました。
    • Quantitativeは初歩的な数学です。最近の傾向は知りませんが、少なくとも10年前の時点では問題が簡単すぎたため、悪目立ちしないためにもこちらは逆に満点を目指す必要があると思います。
    • Analytical Writingは作文です。こちらもいい成績をとるのは外国人には難しいと思いますが、書くことは研究者としても大事なスキルですし、ある程度練習して、悲惨でないと思われる程度の成績は目指した方がいい気がします。私の時は下から30%くらいの出来だったと思うので、平均以下の点数でも問題はないと思います。
  4. TOEFL IBTで基準点以上を取る
    • Berkeleyでは90点ですが、学校によっては100点を要求しています。基準点を超えてしまえば、それ以上は基本的に関係ないので、必要以上に点数を上げる必要はありません。出願したい学校ごとに基準点は違いますが、100点あれば工学系ではどの学校でも問題ないと思います。
  5. Statement of Purpose / Personal History Statement
    • 『なぜこの学校に出願したか?』、『卒業後に何をしたいか?』、『過去のバックグラウンド』等についてエッセイを書く必要があります。
    • これに関しては正直何も言えませんが、アドバイスをするとしたら、書いたエッセイをそのまま提出するのではなく、お金を払って業者に校正をお願いするべきだと思います。そのためのオンラインの業者がいくつかあります。文法ミスだけでなく、ネイティブスピーカーから見ても自然な英語に直してもらうのは大事だと思います。
    • またまったく同じものを複数の学校に提出するよりも、(大部分は同じで構わないと思いますが)ある程度出願先の学校や教授の興味に合わせて内容を変更した方がいいと思います。

その他重要だと思われる要素

  1. 査読付きの英語の論文が採択されていると有利
    • 私の場合、幸いにも学部時代に書いた論文が、私の指導教授がよく出席する学会で採択されていたというのは大きかったと思います。
  2. ニッチを狙う
    • 例えばCS(コンピュータサイエンス)分野の研究者が必ずしもCSの学部に所属しているわけではありません。私の指導教授はCSで博士号をとりましたが、教授としての所属は機械工学でした。機械工学に出願する学生の多くは、プログラミングの経験があまりないので、彼女はプログラミングの経験がある学生を探すのに苦労をしていました。そういう意味で、CSのバックグラウンドがある私の出願はハマりました。
    • また私が学部時代に書いた論文が、彼女の研究対象と一致していたのも大きかったと思います。
  3. 出身大学
    • 出身大学はある程度チェックされるようです。日本からの出願者がいた際に、日本でこの大学に入るのはどのくらい難しいか?という質問を指導教授から受けたことがあります。東大に入るのが難しいのは有名なので、東大出身者は有利だと思います。
  4. ネガティブな情報をわざわざ伝える必要はない
    • 数学や化学などの特定の科目に特化したGRE Subjectテストというものがあるのですが、例えば数学で良い点を取ると工学系では多少有利になることがあるようです。
    • GRE Subjectテストのスコアの提出が要求されているならば受けざるを得ませんが、もしそうでないならばいい点を取った場合にだけスコアを提出してください。要求されない限り悪いスコアの結果を提出するのは絶対に避けるべきです。
    • 今ではなくなってしまったようなのですが、10年前はComputer ScienceのGRE Subjectテストがあり、多くの学校でRecommended(Requiredではない)となっていました。私は律義にも悪いスコアをわざわざ提出してしまったのですが、今振り返るとこれは本当に悪手だったと思います。一般論でも当てはまりますが、要求されない限りネガティブな情報を自ら伝える必要はありません。ポジティブなことだけを伝えてください。(例えば試しに数学のGRE Subjectテストを受けてみて、結果が良かった場合にだけスコアを提出する。)

運の要素は多分にある

どうしてもアメリカの大学院に行きたいのならば、数を打つ必要があると思います。私も10校ほどに出願しUC Berkeleyだけが唯一の合格でした。

あなたがある教授にとって非常に理想的な大学院生であったとしても、その教授に予算がなければ合格は見送られてしまうかもしれません。

また予算のある範囲で合格者数が決まる側面はあるので、景気にも左右されると思います。

 

どの大学に出願するか

必ずしも有名な大学にこだわる必要はないと思います。

大学教授のポジションは限られているので、いい先生は有名ではない大学にもたくさんいます。

あなたの興味のある分野の学会誌を過去10年分調べ、いい研究が『どの大学』の『どの教授』から出ているか調べてみてください。

少なくとも卒業後にプログラマとしてアメリカでの就職を考えているのならば、出身大学はまず考慮されないので、大学名にこだわる必要はそこまでないと思います。

しかしどの指導教授につくかというのは、人生の大きな部分を占めると思うのでそこは大事にした方がいいと思います。いい先生の推薦があれば、卒業後のいい就職先にもつながります。

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プロフィール

yu. (Ph.D. UC Berkeley)   

1981年生まれ。慶応大学環境情報学部を首席で卒業。日本のベンチャー企業で働いたのち、アメリカにわたり、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得。専攻は機械工学、副専攻はコンピュータサイエンス。卒業後はシリコンバレーの大企業やスタートアップでプログラマとして働く。2016年に生涯暮らすのに十分な資産を得る。


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