理系アメリカ大学院留学5回目の夏休み(2011年夏)
最後の夏休みでしたが、急遽就職が決まり年末までの卒業が必須となったので、ひたすら論文を書く毎日でした。
この年の春からネットで婚活を始めていて、この夏休みに日本で実際に会うのを楽しみにしていたのですが、結局日本に戻ることはなかった夏休みでした。
今思えばこの時に日本に戻っておけばよかったと思います。
この夏休みに日本に帰らなかった理由は、今のパートナーとこのころからデートをし始めたのが理由だとこれまで思っていました。
彼女はその年の9月から日本に働きに行くことになっていたので、会える時に会っておこうと思ったわけです。
しかし今振り返ると、彼女は既に卒業を決めて1か月の南米一人旅なんかに行っていて、その間に自分は日本に帰ることができたので、彼女だけが日本に戻らなかった理由ではないみたいです。
とにかく経験がなさ過ぎて余裕がなかった
おそらく卒業だけでなく、就職するためのビザの手続きとかもあって、結局はあまり細かいことを考える余裕がなかったというのが一番の理由な気がします。
会社や所属するグループの方針にもよると思いますが、最初の就職先のマネージャーはリモートワークに対して不寛容な人だったのと、ビザの申請の関係であまりアメリカ国外に出るなと言われていたのもあって、この後もしばらく長い休みは取れませんでした。
またオファーをもらったIntelからは、年末までに仕事を開始してほしいと言われていたので、それが絶対だと思っていました。
しかし別に数週間や下手したら数か月それが遅れようが、一般に(特にIntelのような大企業では)大した問題ではなく、あまり思い詰める必要はなかったと思います。
しかしそれはいろいろ経験した今だから言えることで、当時は世の中の仕組みがよくわかっていなかったので言われるがままでした。
当時のmixi日記です。
- 健康の問題。
- 2011年05月07日01:29
もっとやりたいけど体がついていかない感じ。
休む勇気が欲しい。
学校の勉強しかしてこなかったので社会を知らなかった
学校の勉強ができることは素晴らしい能力ですが、その短所は『学校の勉強ができることはいいことだ』という雰囲気がありすぎるせいで、自分の過ごしてきた人生に対して疑問を抱かない傾向があることです。
私のパートナーは制御理論の研究を学校でしていたのですが、ソフトウェアエンジニアのほうが給料がずっと高いので、キャリア変更をしました。
ウェブ系のソフトウェア開発のような、大学どころか高校で習う数学すら必要のない分野にくらべて制御理論のほうが数学・力学的にずっと高度なことをやっているのですが、給与という面でみるとウェブ開発者のほうが圧倒的に高いのが現実です。
この夏休みは彼女と一緒にいても論文のことをずっと考えていて、旅行中も論文を書いていたので、いつも無視されているようだと怒られていました。
そうやって完成させた博士論文でも、それがあったからと言って自分自身の社会的な評価が高くなるわけでもなく、意味があったかと言われると、自己満足以外にはあまり意味がなかったような気もします。
今でも一番賢い人たちは産業界よりも大学にいると思いますが、産業界(つまり一般社会)と大学にいる人々の間の価値観には大きな壁があります。
そして学校の中の評価・価値観でこれまで過ごしてきて、その外の世界に30歳になってから踏み込んだ自分はそのギャップを今でも埋め切れていない気がします。
理想と現実は異なっているということです。
彼女はわりとのんびりした学生時代を過ごしたようですが、最近は自分よりも彼女のほうが週末や帰宅後に勉強する人になりました。
もっと早く私のような人に出会いたかったといわれ、正直そのような生活が必ずしも幸せなわけではないですが、自分の足りなさを認識して、かつそれを埋めたいと考えるならば少なくとも現実に直面してそこからやるしかないのでしょう。
私はやっぱり勉強自体が趣味なので、大学院時代はとてもいい思い出になっていますが、彼女は大学院に進学してPh.Dを取ったことをいまでも時間の無駄だったと後悔しているようです。
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