一度就労ビザ(H1Bビザ)を手に入れてしまえばアメリカでの転職はとても簡単

アメリカサラリーマン生活1年目・2012年秋

シリコンバレーの大企業はとてものんびりしているに書いたように、Intelでの2年8か月は今振り返ってものんびりした生活でした。

大企業はそもそものんびりしているというのもありますが、リソース的な問題もありました。

扱っているデータが大きく(テラバイトからペタバイト)、当然一つのコンピュータのメモリに収まらないので、数万個のCPUからなる分散システムを使って処理を行います。

その数万個のCPUは会社全体の共有物なので、自分が使いたいときに空いていないと待たなくてはいけなりません。

またそのような大きなデータなので、自分が使える順番が来ても、少し大きめのテストを走らせると数時間かかります。

私のいたチームは50人ほどからなる比較的大きなチームなので、コードを変更するときも、他の人が作ったところをうっかり壊さないように、数千個からなるテストにすべて合格させる必要がありました。

そしてそのテスト自体を走らせるのも1時間くらいかかりました。(そして一発で必ずしも合格しない。)

そんなこんなで待っている時間が長いので、勉強したり、誰かが書いたグチャグチャのコードをクリーンアップしている時間の余裕がありました。(スタートアップだと時間がないので、グチャグチャのものは永遠にそのままです。)

50人もいればいろんな人がいるもので、とりあえず自分の担当部分を終わらせることができれば他の人の生産性がどうなろうと構わないのか(そもそもそういう思考がたぶんない)そこら中に同じコードをコピペしてしまう人もいれば、ボランティア的にそれをクリーンアップする人もいました。

そういうボランティア的な活動はマネージャーからは見えないし評価されないのですが、こういうところに本質的な人間性が見えて、面白いと思いました。

なんとなくですが、そういうのはその人の出身国の社会と相関関係がある気がしています。

インド人のコードはインドの街っぽいし、フランス人のコードはフランスの街っぽいです。

私のコードは日本の街っぽいかもしれません。

自分の手の届く範囲だけを小ぎれいにするみたいな。。

日本の街はゴミがなくきれいなのも、日本に住んでいる人の心がけのおかげで、そういうのは一朝一夕でできるものではないと思うので、とても素晴らしいことだと思います。

だけど全体最適にならないのが欠点ですね。

東京は『醜い街の中で一番美しい街(most beautiful of ugly cities)』だという言葉を海外の旅行サイトで見て、うまいことを言うなと思ったことがあります。

Googleのリクルータから連絡がくる

9月に入り、会社がスポンサーをしてくれた就労ビザ(H1Bビザ)も無事許可が下り、アメリカでの生活基盤が少し安定しました。

そのころたまたまGoogleのリクルータからメールが来て、よかったら面接を受けてみないかと言われました。

リクルータから転職の誘いが来たのは初めての経験だったのですが、ビザの問題はとても大変だと思っていたので、それまで転職のことなど考えたことがありませんでした。

しかし一度H1Bビザの許可が下りてしまえば、それを他の会社に移すことは簡単だということをその時知りました。(さらに言えば一度途中に日本に帰るなど無職の期間があってもH1Bは復活できる。)

つまり外国人は転職が難しいと勝手に思い込んでいたのですが、実際には一度ビザが手に入ってしまえばオファーさえあれば他の会社に移るのは難しくないのです。

自分はコンピュータサイエンスの出身ではないので、Googleで働くことなど考えたことがなかったのですが、せっかくなので電話の面接だけ受けてみました。

その時初めてアメリカのソフトウェアエンジニアの面接で一般的であるコーディング面接を受けました。

Intelでのポジションはソフトウェアエンジニアで、毎日C++のプログラムを書いていました。

しかしハードウェア企業のせいか、面接は1時間大学院時代の研究のプレゼンテーションをして、あとは他のエンジニアと談笑をしただけで採用が決まってしまったので、コーディング面接の経験がなかったのです。

電話での面接は無事パスしたのですが、まだ就職して1年もたっておらず、仕事も少し慣れてきてこれから楽しくなりそうなときだったので、その先のステージに進むのはしばらく待ちますと伝えました。

オフィスを訪ねて現地で面接を受けるのは半年ほど後になります。

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プロフィール

yu. (Ph.D. UC Berkeley)   

慶応大学環境情報学部を首席で卒業。日本のベンチャー企業で働いたのち、アメリカにわたり、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得。専攻は機械工学、副専攻はコンピュータサイエンス。卒業後はシリコンバレーの大企業やスタートアップでプログラマとして働いていました。現在はフリーランス。毎日好きなものを作って暮らしてます。

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