アメリカサラリーマン生活1年目・2012年冬
留学は最悪のスタートを切ったという記事から、世の中の進化の速度に僕らの学習速度は追いつけないという記事まで、3週間にわたって大学院留学時代を振り返ってきました。
今回からはサラリーマン時代を振り返っていこうと思います。
アメリカでのサラリーマン経験は、通算で6年ほどになります。
卒業後の最初の就職先であるIntelに2年8か月、その後Lytroという、のちにGoogleに二束三文で売却されたスタートアップに2年3か月いました。
途中に2年ほどアメリカを離れていた時期があり、その後に改めて渡米して昨年まで在籍していたスタートアップに1年という感じです。
私のアメリカでのサラリーマン時代はIntelという大企業から始まりましたが、おそらく人生で最初で最後の大企業勤めになるだろうと思います。
会社自体は素晴らしい技術とカルチャーを持っていて、組織としてもとてもしっかりしたいいところでしたが、単純に自分は人が多いところがあまり快適ではないのです。
Intelも含め、シリコンバレー大企業では、よっぽどコアなチームに所属しない限りサラリーマンとしては高給でとてものんびりした生活を送ることができます。
終身雇用が前提の日本企業と異なり、人が頻繁に入れ替わることが前提で組織化されているので、仕事が属人的になっておらず(かつGAFAのような企業はお金が有り余っているので)、取り急ぎあてがう仕事のない単純なバックアップ人材、もしくはバックアップのさらにバックアップのための人材が大量に雇われています[ref]個人的にはGAFAが必要のない人材を囲い込むせいでスタートアップに必要な人が回らない問題があると思っています。[/ref]。
景気が逆回転を始めたらどうなるのかわかりませんが、いまのところそんな感じなので、もし自分が次に大企業で働く機会があるとしたら、年を取って何もやりたいことがなくなったときだと思います。
私の所属していたチーム
自分の所属していたチームは割と社内では大きなグループで、50人ほどのソフトウェアエンジニアからなっていました。
そのうちの8-9割方がPh.Dを持っていて、残りは修士号です。
バッググラウンドで一番多かったのは電気工学、次いでコンピュータサイエンスで、他には機械工学、物理などの人からなっていました。
アメリカ人は5人くらいで、その他が外国人です。
また外国人のうち、5人ほどヨーロッパの大学の出身の人がいて(オーストリア、ドイツ、フランス、スイス等)、他の人がアメリカの大学出身でした。
出身国的には、私のチームのマネージャーがインド人なのもあり、7割方がインド人でした。
アメリカの採用はコネが良くも悪くもとても強いので、人種や性別がマネージャーの志向で大きく偏る傾向にあります。
アメリカのソフトウェア業界では、人口に比例してたいてい中国人とインド人がマジョリティですが、アメリカの法律上、原子力と宇宙産業に加えて、半導体産業では中国などの共産圏の出身者を雇うことに制限があるため、中国出身の中国人はアメリカ市民権を取得した人以外はチームにいませんでした。
厳密にはIntelが中国人を雇うことができないのではなく、私のオフィスが半導体製造工場に隣接していたのが問題だったようで、後に別のオフィスで働くことを条件に中国人のチームメートも加わるようになりました。
アメリカ生活をリセットできたサラリーマン1年目
大学院留学から始まって、1度目の渡米では2006年から2016年まで10年間いましたが、この2012年が一番リラックスしていた1年だったと思います。
健康のためにジョギングを始めたり、バスソルトにはまったり、10年ぶりにDAWを始めたりして、5時以降や週末は完全に自分のやりたいことに集中できました。
毎日課題や論文に追われていた大学院時代と異なり、とてもプライベートが充実していました。
大学院時代からサラリーマン時代にかけて、いろいろな国の人と一緒に仕事をしてきましたが、一番日本人に対して親近感を持っているのがインド人だと思います。
『子供のころから学校では日本人を見習え』と言われたと、複数のインド人の同僚から聞きました。
日本人のいいイメージを作ってくれた先祖に感謝です。
そんなインド人に囲まれた生活だったので、この頃は仕事の後に毎日のようにサッカーをやったりして、とても楽しい日々でした。
こちらが最後のmixi日記です。
これ以降にmixiに日記を書くことはありませんでした。
- 根本的に向いてない
- 2012年02月16日15:20
サラリーマンって昇進と昇給に興味がまったくない場合、どのあたりがモチベーション?
何もしなくてもお金が振り込まれるのは本当にすごいけど、人生は別にお金をためるゲームじゃない。
↑記事をシェアしてください!読んでいただきありがとうございました。