留学は最悪のスタートを切った

理系アメリカ大学院留学1学期目(2006年秋)

1学期目に履修した科目は以下の5科目。(成績表はこちら

  • CS 274: Computational Geometry
  • CS 284: Computer-Aided Geometric Design and Modeling
  • CE130: Mechanics and Materials
  • E36: Engineering Mechanics
  • E45: Properties of Materials

アメリカの大学院は知識詰込み偏重型という記事で書いたように、1学期に履修すべき科目数は基本は2つ、多くて3つです。

3つだと授業の課題をこなすだけで精一杯なのに、いきなり5つだったので完全に生活は破綻しました。

先ほどの記事に書いたようにいろいろとタイミングが悪かったためです。

正直スタートの切り方としては最悪でした。

 

履修科目と感想

CS274: Computational Geometry

成績はB+。

Computational Geometryは日本語だと計算幾何学といいます。

ざっくり言えば数学の図形の問題をコンピュータで解く方法論です。

高校までで出てくる図形の問題は、点の数がせいぜい10個くらいの簡単な図形しか扱われないので人力で解けますが、現実社会では例えば1億個の頂点からなる図形データを扱ったりするのでコンピュータで対応する必要があります。

プログラムを書いて実装するというよりは、数学の証明ばかりなので難しかったです。

1学期目に履修した科目ですが、結局これでずっとご飯を食べているので、一番役に立っています。

こちらにあるように、CG・CADから、半導体、地図(GIS)、ロボティクスなど応用先が割とあるにもかかわらず、世界でやっている人があまりいないので、楽しいしお得な分野でした。

使われるデータ構造とアルゴリズムも特殊なので、他のコンピュータサイエンス分野の人がゼロから適応するのも時間がかかると思います。

 

CS284: Computer-Aided Geometric Design and Modeling

成績はB+。

形を表現するための数学的ツールを学びました。

ベジェ曲線から始まって、3Dスキャナで得られた点群のデータから3Dメッシュを構築する方法など当時の最新のアルゴリズムまでカバーされました。

授業内容の8-9割方は既に知っていたことなので余裕だと思っていたのですが、Homeworkをときどきさぼったせいか成績は良くなかったです。

アメリカの大学の成績のつけ方はシビアだと思いました。

学部はともかく、大学院まで来る人は賢いというよりは勤勉ですね。

 

CE130: Mechanics and Materials

たぶん日本だと材料力学という名前でカバーされる領域だと思います[ref]私はもともと文系なので日本の工学部のカリキュラムがわかりません。[/ref]。

stress(応力)、strain(ひずみ)、yield point(降伏点)など、材料の力学について学びます。

prelimのために必要なので取りましたが、もともと自分がやりたかったのは計算科学だったので、この手の力学の理論の話の方がCS分野よりも興味がありました。

大学院に来る前は日本で1年間サラリーマンをしていましたが、その会社のメインプロダクトは有限要素法を使った物理シミュレーションで、同僚が話していた応力や降伏点という言葉の意味がこの授業を通じて初めて分かりました。

会社で自分がやっていたことは、CADデータをシミュレーションに適した形(メッシュ)に離散化するためのプログラムを書いていただけなので、力学の知識はゼロでした。

 

E36: Engineering Mechanics

上のCE130の前提科目。時間がないので同時履修しました。

内容はstatics(日本語だと静力学?)。

F=maの、a=0のケースについて学びます。

CE130で扱う応力の定義は単位面積当たりの力(Force)なので、例えば建物の構造が与えられたときにどこにどのくらい力がかかるかわからないと、応力やひずみの計算ができません。

学部2年生が履修する内容のせいか内容が簡単すぎたので、授業に行かずに自分で勉強すればよかったです。

朝9時スタートの授業だったので、これがなければ睡眠時間が確保でき1学期目のパフォーマンスは向上したと思われるので失敗でした。

自分はずっと夜型です。

この授業の後に図書館のソファーで昼寝をするのがルーチンだったのを覚えています。

 

E45: Properties of Materials

これもCE130の前提科目。時間がないので同時履修です。

ニュートン力学(古典力学)で出てくる力(Force)の起源は原子間に働く力です(例えば垂直抗力やそこから導出される摩擦力の起源はファンデルワールス力)。

化学的性質とニュートン力学的な力の関係などについてに学べればもっと面白かったかもしれませんが、授業内容のほとんどは原子の配置がなんだかんだという話で面白くなかったのかあまり記憶に残ってないです。

履修も途中でキャンセルしました。

また授業と別に実験があり、それが朝8時スタートだったので、こちらも寝不足の要因でした。

結果論ですが、この授業内容でカバーされる内容は知っている必要がなかったので、これも睡眠時間を取られた感じがしただけでもったいなかったですね。

ちなみに英語に関していうと、授業で先生が話す内容はわかるのですが、実験などで他の学生の言っていることがさっぱりわからなかったので本当に困りました。

 

振り返っての感想

日本の学部で勉強していた分野と大学院で勉強する分野が同じであれば、それほど問題はないと思います。

アメリカの大学教育は日本のそれに比べて数年ビハインドなので、大学院では既に知っている話をもう一度聞くことがほとんどになると思います。

逆に自分のように分野を変更した場合はそれなりに大変になるのではないかと思います。

ただせっかく学校に行くのだったら、新しい分野にチャレンジするのは悪くないと思います。

学校はたくさんの0を1にしてくれるところで、1から100に持っていくのは個人の努力でできると思うからです。

 

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プロフィール

yu. (Ph.D. UC Berkeley)   

慶応大学環境情報学部を首席で卒業。日本のベンチャー企業で働いたのち、アメリカにわたり、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得。専攻は機械工学、副専攻はコンピュータサイエンス。卒業後はシリコンバレーの大企業やスタートアップでプログラマとして働いていました。現在はフリーランス。毎日好きなものを作って暮らしてます。

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