アメリカで就職したいならば理系大学院で1年で修士を取得してOPT

ハワイという楽園で胃痛が治る理系アメリカ大学院留学2回目の夏休み(2008年夏)

先学期に体調を崩し、かつ原因がわからなかったのでかなり健康に関してナーバスになっていました。

アメリカに来て2年間、日本に帰るのはいつも年末年始でした。

日本の夏が懐かしくなったのものあり、一度日本で休んだら体調も良くなるかなと考えました。

しかしその年は航空券価格がとても高く、日本に帰るのは諦めました

最近はWTI先物の1バレル当たりの原油価格は大体50ドル前後で推移していますが、この2008年はタイミング悪く140ドルの値を付けた原油高騰の年でした[ref]その後シェールオイルの開発が北米で進み、原油価格が高騰することがなくなったのがここ10年の流れです。技術も進歩したためシェールオイルの採掘価格も下がりました。[/ref]。

そこでふと、大学時代の同級生がハワイにいたこともあり、いつか行ってみたかったハワイ行きへの航空券を調べてみました。

確か日本への往復チケットが1500ドルを超えていたのに対し、ハワイ往復は600ドルくらいだったので決定でした。

10日くらい滞在して、特に何をしたというわけでもなく、ビーチで一日中パラソルの下で寝ていたり、用もなくダイヤモンドヘッドのあたりを散歩していただけですが、過去数か月悩まされていた胃痛が消えました

この時26歳で、メンタルコントロールを上手くしないと健康を損ねるという事を学びました。

逆に言えば、それまでは勢いだけでやってこられたので若いというのはいいことですね。

また若いというだけで(特に女性の場合は)周囲の評価も甘いし、助けてもらいやすいので、若いうちはいろいろ突拍子もないチャレンジをした方がいいと思います。

 

相変わらずうまくいかない研究

ハワイに行った以外は、前の年の夏休みと似たような生活だったと思います。

前の夏休みの研究はグダグダになりましたが、大幅に書き直して一応7年後に論文にはなったのでよかったです。

博士論文の一つのチャプターにもなりました。

しかしこの夏休みにやっていた研究は残念ながらお蔵入りになってしまいました。

内容はアメリカに来る前から会社で開発していた有限要素法のための3次元CADデータの離散化(=meshing)の続きで、当時から試してみたかったアイデアをこの夏休みの前くらいから少しずつ始めていました。

とりあえず2次元で実装してみてうまくいきそうだったので、3次元に拡張してみようとサーベイをしていたのですが、前年に似たようなアイデアがすでに論文になっていたのを見つけ、諦めてしまいました[ref]ビジネスの世界では売れれば二番煎じでも三番煎じでもありですが、研究は世界初でないといけないので大変ですね。[/ref]。

全く同じわけではなかったので、先生にとりあえず修士論文にしてみたら?といわれたのですが、個人的にはあまり意味がないと思い、その研究はそれっきりにして、夏休み後半からは先生の取ってきた企業のプロジェクトの研究を始めました。

 

理系大学院ならば1年で修士を取得してOPTが取れる

アメリカで学位を取得すると、ビザなしで働けるOPTという権利がもらえます。(結局ビザ取得がアメリカで働くうえで一番のハードルです。)

私は学部卒業のみで大学院に入学して、直接Ph.Dを取得したので修士号をもっていないのですが、このとき修士号を取ってしまわなかったのは大きな失敗の一つでした。

なぜならアメリカでビザなしで(理系ならば3年間)働けるOPTは学位取得ごとにもらえるからです。

今振り返れば研究者になるのではなくアメリカで就職するために大学院にきた私のような人間は、目指すべきは学位でなくOPTであり、そのための最短距離を走る方が賢かった気がします。

つまり修士号取得によるOPTを利用して就職してしまい、必要な授業さえ履修してさえいれば、博士論文は働きながら週末に書くことが可能です。

しかし修士号を持っていなければ、OPTを手に入れるチャンスはPh.D取得時のみなので、働きながら博士論文を書くという手段はとれません。

アメリカの工学系の修士号は基本的に授業を履修して論文ではなく簡単なレポートを提出するだけで取れ、その期間も1年だけです。(例えばBerkeleyの機械工学では9か月でMaster of Engineeringがとれる。Ph.Dの途中にとれるMaster of Scienceだと通常1年半のようです。)

したがってアメリカで就職したいならば、理系大学院の修士プログラムに入学を目指すのはお手軽な方法かもしれません。

ここで理系と書いたのは、通常OPTは1年しか有効ではないのですが、理系(STEM)ならば3年有効になるからです。

3年働ければとりあえず出稼ぎ民としては十分だと思います。(シリコンバレーのソフトウェアエンジニアで同じ会社に3年務めている人はあまりいません。)

もっと長くアメリカにいたいならば、その間に就労ビザ(H1-B)へ移行もかなりの確度でできます。

3年の間に恋愛をして現地にパートナーを作り、グリーンカードを取得するのもいいでしょう。

さらにOPTのメリットとして、いわゆる社会保障費(social security + medicaid tax)を払う必要がないので、税率が7.65%下がるので手取りが大きくなります。

修士コースはPh.Dコースと異なり、学費が無料になったり給料がもらえる保証はありませんが、エンジニアリング系(特にコンピュータサイエンス)ではTAのポジションは余る印象があるので、学費無料で卒業できる可能性は大いにあると思います。

また日本で修士号を既に持っていても、改めて修士コースに入学することは可能なので、アメリカで就職を目指すとっかかりとしては、わりと自分の力で道を切り開けるので万人にとってわりと悪くない選択だと思います。

さらに専門を変更しなければ授業内容も既に知っていることが多いと思うので、就職前の英語練習の場としてとらえてしまうのもアリではないかと思います。


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プロフィール

yu. (Ph.D. UC Berkeley)   

慶応大学環境情報学部を首席で卒業。日本のベンチャー企業で働いたのち、アメリカにわたり、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得。専攻は機械工学、副専攻はコンピュータサイエンス。卒業後はシリコンバレーの大企業やスタートアップでプログラマとして働いていました。現在はフリーランス。毎日好きなものを作って暮らしてます。

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