アメリカの大学院は知識詰込み偏重型

頑張ってもダメだった大学院での1学期目

私の通っていた慶應大学SFCの学部では、各学期ごとに10科目まで授業を履修することができました。

それに対してUC Berkeleyの機械工学部の学部生は3科目か、がんばって4科目です。

これはBerkeleyがSFCに比べてヌルいというわけではなく、授業の密度と強度が違うのが原因です。

アメリカの理工系の大学で学期に10科目も履修したら破綻します

私は社会全体で見れば勉強ができる方ですが、できる人たちの集団に入れられると大したことはないというのは高校生の時点で自覚していたので、大学入学以降は人よりも時間をかけて根性でなんとかするという通用を取ってきました。

大学院入学1年目で、ついにこの方法が通用しなくなりました。

大学院では、各学期に2つの授業を取るとかなりきつい、3つとると睡眠時間を削ってもついていくのがやっとという状態でした。

アメリカの理系大学院では入学してすぐにペーパーテストがある

UC Berkeleyの工学系のPh.Dを取得するまでに、2回テストに合格する必要があります。

そのどちらかに落ちると基本的には退学で、博士課程コースに合格しても修士号だけで卒業です[ref]参考:新井紀子教授の学歴詐称の件  [/ref]。

Berkeleyではpreliminary exam (prelim)と呼ばれていた、1つ目のテストは純粋なペーパーテストでした。

2つ目はQualifying Examと呼ばれる、Ph.D candidateになるための4人の教授による口頭試験です。

入学して1年以内にまずprelimに合格するのが、博士課程に進学した大学院生の最初のタスクです。

こちらによると、今は以下のうちの自分の専門分野のみで合格すればいいようです。

1. CONTROLS
2. DESIGN
3. DYNAMICS
4. FLUID MECHANICS
5. HEAT TRANSFER
6. MATERIALS
7. SOLID MECHANICS
8. THERMODYNAMICS

自分が通っていた時は1つでなく、3つパスしなければいけなかったので、Manufacturing(製造技術)とMaterials(材料力学)とDynamics(動力学)を受けました。(Manufacturingのテストはなくなってしまったようですね。)

問題は機械工学のバックグラウンドがないまま入学したので、このprelimの準備のための学部生の授業と大学院生の授業を同時に履修しなければならなかったことです。

結果的に1学期目は5科目を履修することになり破綻しました。

久々にがんばってもダメだったなと思いました。

先ほど書いたように、3科目がせいぜい限界なのでしょうがないです。

2学期目はprelimの準備のためだけに大学院生向けの授業は履修しなかったので時間的に余裕があり研究も少しできました。

なぜ1学期目もそうしなかったかというと、大学院生向けの授業は数年に1度しか開講されず、そのチャンスを逃せないためです。

そういう授業が運の悪いことに私の1学期目に2つ偶然開講されてたわけです。

共にCSの授業で、二人とも私の博士論文の審査をしてくれるような近しい人だったので、本当に運の悪いタイミングもあるものだと思います。

理系のバックグラウンドのない人が理系大学院に進学する際のアドバイス

学部1,2年生が受ける授業をlower-divisionコース、学部3,4年生が受ける授業をupper-divisionコースと呼びます。

いわゆる専門はupper-divisionコースで、lower-divisionコースは例えば数学や物理など、工学系の学生であれば所属する学科に問わず履修するようなコースになっています。

prelimの準備のため、私は2つのlower-divisionコースも1学期目に聴講していました。

これは今振り返ると時間を無駄にした一つの要因だと考えています。

その理由は、lower-divisionコースで教えられるような知識が私には欠けていたとはいえ、さすがにこれらのコースで教えられている内容は、一度大学を卒業した人間にとっては簡単すぎるという事実です。

したがって、もし私と似たような状況の方がいたら、アドバイスとしてはlower-divisionコースは教科書だけ買って、必要に応じてそれをめくればいいと思います。

授業に出るのは時間がもったいないです。

prelimに合格するためのupper-divisionコースや大学院生向けの授業を理解するための前提知識として、もちろんlower-divisionコースの知識が必要になることがあるのですが、そこからボトムアップで勉強するのは時間がない人には効率が悪いのです。

やりたいことが研究しかないなど、時間が有り余っている人はいいですが、やりたいことに追われていて時間が足りない私のような人にとっては、勉強は基礎を積み上げるよりも最初からトップダウンでやる方が効率がいいです。


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プロフィール

yu. (Ph.D. UC Berkeley)   

慶応大学環境情報学部を首席で卒業。日本のベンチャー企業で働いたのち、アメリカにわたり、カリフォルニア大学バークレー校にて博士号を取得。専攻は機械工学、副専攻はコンピュータサイエンス。卒業後はシリコンバレーの大企業やスタートアップでプログラマとして働いていました。現在はフリーランス。毎日好きなものを作って暮らしてます。

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